がまざわたかこ様
(郷土料理研究家、調理師、かんぶつマエストロ)
ホテル和食部門で板前として修行後 料理家へ。企業向けレシピ開発や料理教室、フードコーディネートを手掛ける一方、コラム執筆、イベント講師、動画出演、食育授業、食を通した地域活性など活動は多岐にわたる。旅行会社勤務経験から、日本各地の料理や食文化の魅力にはまり郷土料理の研究をするように。郷土料理の魅力はそのままに、作りやすくアレンジ。『心がほっこりするごはん』をモットーに体も喜ぶ素朴なレシピを提案している。
琉球料理菜飯(セーファン)とかつお節
ひとたび味わうと、うま味調味料の味に慣れてしまっている近ごろでも本当のおいしさはこれなんだ、と思い出させてくれます。
料理に時間をかけられる人が少なくなって、素材本来のおいしさが感じられる手間暇のかかる料理は作られにくくなっていますが、かつお節からきちんと取ったお出汁はそれだけで料理として成立するほど満足できるおいしさになります。
かつて琉球王国として栄えた沖縄は、中国と冊封進貢(さくほうしんこう)の関係を結び、中国からの使者が数多く訪れていました。
使者が来るたび祝宴が催され、重要な国家行事でもあったためそれに備えて料理人を中国に派遣し料理を学ばせたという歴史があります。
そのため、沖縄の料理には庶民的な料理はもとより、中国の影響を受けた華やかな宮廷料理も数多く存在。
菜飯は色とりどりの食材がご飯の上に盛り付けられ、見た目にも宮廷料理らしい美しさを感じられます。この料理のおいしさは、なんといっても香り良いかつお出汁をたっぷりとかけていただくところにあります。
琉球王朝の貿易圏であるインド洋のモルジブ諸島にも似た製法のかつお節があり、
14世紀には輸出されていたともいわれていますから驚きです。
その影響からか沖縄料理にはかつお出汁を使うものが数多くあり、
沖縄におけるかつお節の食文化が長い歴史の中で浸透し根付いていったことがうかがえます。
かつて宮廷料理として食されていた菜飯は、現在ではお祝いの席や宴の〆として食べられています。
このおいしさを、料理に手間暇かけられない人でももっと手軽にできないかと調理工程は簡単に、
かつお出汁はコーヒーフィルターでドリップする作り方で作ってみました。
いくつかの種類のあるかつお節の中から選んだのはまろやかな香りとバランスの良い旨みが特徴の本枯節。コーヒーフィルターをドリッパーにセットしかつお節を入れお湯を静かに注ぎます。
かさばるかつお節は少量ずつ加えながら注ぐのがポイント。
鍋を使わなくても十分おいしいかつお出汁を取ることができます。
かつて中国の使者をもてなした料理が時代を超えてもなお食べ続けられているのは、私たちの舌になじむかつお節のおいしさにもあるのではないでしょうか。
多様化する食環境の中でこの先も途切れることなく食文化を継承していくには、
まずは私たちが本物の味を知らなくてはいけません。
かつお節の本当のおいしさを食べ繋ぎ、
次世代に継承していくことが未来の豊かな食生活につながると考えます。
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COLUMN カネニニシの鰹節レシピ
かつお出汁香る菜飯(セーファン)
にんじん・・・・・・・・・・・1/4本(40g)
さやいんげん・・・・・・・・・6本
きざみ干ししいたけ・・・・・・5g
水・・・・・・・・・・・・・・1/2カップ
A 塩・・・・・・・・・・・・小さじ1/4
A きび砂糖・・・・・・・・・小さじ1
A 薄口醤油・・・・・・・・・小さじ1
鶏ささみ・・・・・・・・・・2本(100g)
B 塩・・・・・・・・・・・・ひとつまみ
B 酒・・・・・・・・・・・・大さじ1
卵・・・・・・・・・・・・・2個
C 塩・・・・・・・・・・・・ひとつまみ
ご飯・・・・・・・・・・・・・2膳分
(かけ汁)
カネニのぱくぱくパック(本枯節)・・2パック(8g)
お湯・・・・・・・・・・・・・300ml
薄口醤油・・・・・・・・・・・小さじ2
生姜汁・・・・・・・・・・・・少々
- きざみ干ししいたけは分量の水に10分ほど浸けて戻しておきます。
にんじんは皮をむき短冊切りに、さやいんげんは食べやすい長さの斜め切りにします。
平らな耐熱皿にそれぞれ分けて並べ、刻み干ししいたけの戻し汁にAの調味料を加え混ぜ上から回しかけラップをして電子レンジで加熱します。(600w/4分) - 鶏ささみはBで下味をつけ、ラップをかけて電子レンジで加熱します。
(600w/2分30秒)冷めたら筋を除いてほぐします。 - 平らな耐熱皿にラップを敷き、卵を割りほぐしCの塩を加えて混ぜ、電子レンジにかけて卵焼きを作ります。(600w/1分30秒)冷めたら食べやすい大きさに切ります。
- お茶碗にご飯をよそい、1、2、3をのせます。
- コーヒーフィルターにカネニのぱくぱくパックを数回に分けて入れながらお湯を注ぎ出汁をとり、薄口 醤油とすりおろした生姜の汁を加え混ぜ4にかけます。
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がまざわたかこさん |
料理家 (郷土料理研究家、調理師、かんぶつマエストロ) ホテル和食部門で板前として修行後 料理家へ。 企業向けレシピ開発や料理教室、フードコーディネートを手掛ける一方、コラム執筆、イベント講師、動画出演、食育授業、食を通した地域活性など活動は多岐にわたる。旅行会社勤務経験から、日本各地の料理や食文化の魅力にはまり郷土料理の研究をするように。 郷土料理の魅力はそのままに、作りやすくアレンジ。『心がほっこりするごはん』をモットーに体も喜ぶ素朴なレシピを提案している。 (レシピ開発・掲載・イベント実績) JAさいたま、ツヴィリング J.A. ヘンケルス ジャパン株式会社、パナソニック株式会、いなば食品、マルコメ株式会社、シマダヤ株式会社、三重県商工会、オリックス生命保険株式会社、クックアンドライフ社、株式会社マルハチ村松、株式会社アサヒコ、meuron株式会社、株式会社シェアダイン、株式会社ヤマキ、秋田県 東海林養鶏場、一般社団法人セルフメディケーション協会、主婦の友社「100万人のお墨付き」、小学館Precious.jp、小学館@DIMEアットダイム、NTTdocomo オンライン講座「gacco」、その他 |